数理統計学

みんなのR -データ分析と統計解析の新しい教科書

00

著者 : Jared P. Lander
出版社 : マイナビ

現場のデータサイエンティストによって書かれた実践的な R 入門書です。統計解析手法の数学的なロジックについてはほとんど説明されておらず、翻訳も所々誤っているもしくは統計学的に標準的な訳語が使われていないと言う難点がありますが、にも関わらずここで紹介するのは、本書が「データ整形」や「データ結合」等の前処理について非常に重きを置いているからです。多くの「R 本」が分析パッケージ の利用方法やヴィジュアル化を急ぐのに対して、「前処理」と「分析」がバランス良く扱われており、分析へ入る「その前」で躓いている方には一読の価値アリだと思います。

深層学習

00

著者 : 岡谷貴之
出版社 : 講談社

深層学習(ディープラーニング)はニューラル・ネットワークを利用した機械学習の手法であり、画像認識や画像カテゴリー認識 及び 音声解析等 各種人工知能テクノロジーに応用されている” 今アツイ ”最先端の分野です。本書は深層学習についての、理系教養程度の知識にある方にとって現状最も分かり易い入門テキストの1つだと思います。数理的解説と実務応用や歴史についての記載とのバランスが良く、かつ 図も豊富なためこの分野の基礎理論と現状を手っ取り早く概観したいという要望に応えてくれます。折しも本文を記載している2016年、GoogleのAlphaGoが李世ドル9段を破ったことが話題になりました。また IBMのWatsonも日々メディアを賑やかしています。Alpha GoやWatsonを含む人口知能のロジックを知りたいという方、是非本書を手に取ってみて下さい。

因子分析

00

著者 : 市川雅教
出版社 : 朝倉書店

数ある多変量解析の内、ユーザーにとって最も”モヤモヤする”分析の1つは因子分析ではないでしょうか。分析の用途や出力結果は魅力的なのに、裏側のロジックを知ろうとテキストを手に取ると 記述が曖昧であったり、内容が断片的であったり、あるいは数学的に難し過ぎたりして、長年使ってはいるがロジックはブラックボックスのまま、という人は多いと思います。本書はそんな多くの方の”モヤモヤ”を解決する素晴らしいテキストです。因子分析のロジックと最近の研究結果が 数学的にきちんと かつ 行間を飛ばさず に記載されています。因子分析ユーザーの方も、因子分析を諦めてしまった方も、是非一度手に取ってみてください。ただし、学部程度の線形代数までは仮定されていますので、線形代数が曖昧な方は線形代数のテキストを脇に置いて読み進めると良いと思います。

ロスマンの疫学

00

著者 : KennethRothman
出版社 : 篠原出版新社

本書は「疫学」の世界的に有名なテキストであり、著者のKennethRothmanは同分野の大家です。数学系だと馴染みのない方も多いかもしれませんが、疫学は公衆衛生科学の中核となる分野であり感染症の制御や住生活環境の改善に貢献している学問分野で(ナイチンゲールをイメージしてください)生存時間解析やロジスティック回帰等統計学の様々な分析手法を活用しています。ですので、本書でも医療統計学の解説は充実していますが、白眉はやはり医療統計学の枠に収まらない疫学独自の概念や「疫学的思考法」の解説です。分析手法のロジックを理解することばかりにエネルギーを投入しがちな人には、「科学的思考の上で研究を”デザイン”すること」の重要性に気付かせてくれる1冊となるでしょう。

数理統計学ハンドブック

00

著者 : Robert V.Hogg
出版社 : 朝倉書店

朝倉書店の出版している「ハンドブック・シリーズ」の数理統計学編で、欧米の大学院でよく使われている ” Introduction to Mathematical Statistics ”というテキストの翻訳本です。全766ページの中で 確率の公理からはじまり一般線形モデル、ノンパラメトリック解析、ベイズ統計までを網羅的に扱っています。基礎内容から丁寧に記載されている”全部盛り”テキストなので、一度数理統計学を学んだことがある方のレファランス本としてはもちろん、これから数理統計学を学ぼうとしている方にとっても非常に有用なテキストだと思います。大学生や大学院生の方は長期休みに”一気読み”すると今後の研究で末永く役立つ財産となるでしょう。