じゃんけん

スーパーのじゃんけんゲームはなぜ負ける?~数学×あそび~


大人なら昔、誰でもやったことがあるであろう、スーパーやゲーセンなどにあるじゃんけんゲーム。勝てばコインをもらえるというルールでとても単純ですがはまってしまうゲーム機で子供に大人気でした。
じゃんけんゲームはあいこの場合はゲームが続くため「勝ち」か「負け」しか存在しません。勝てばルーレットが周り出た数字の枚数だけコインがもらえます。一方負けたら入れたコインが没収されます。マシンによりますが、勝てば最大50枚のコインがもらえるなんて言うものもあります。しかしなぜかみんな最終的にコインは0になってしまいます。

色々なマシンがありますが、よく街で見るマシンについて解説します。勝ちの場合の配当ですが、

1枚が2つ
2枚が4つ
4枚が2つ
7枚が2つ
16枚が1つ
50枚が1つ

の計6種類(12ゾーン)。上記でも示したようにあいこだとゲームが続くので結果は「勝ち」か「負け」しかありません。ルーレットの止まる確率が均等だとしたら勝った時にコインがもらえる期待値は

より、8.17枚が期待収益として得られます。普通のギャンブルだと胴元が必ず儲かるように調整しているので、勝率がもし50%だとすると配当は2倍より小さくなるように調整しています。
配当を2倍より小さくしておけば、胴元の期待収益がプラスになるからです。

しかし、じゃんけんゲームの場合だと8.17倍という常識では考えられないくらい大きな数値が出ます。
これが現金での配当ならみんな億万長者になってしまうことでしょう。しかし、じゃんけんゲームの場合最終的にみんなコインが0になります。なぜでしょうか。
それは下記の4つのことが考えられます。

  • ルーレットの出る目が均等ではない
  • 勝率が1/2ではない
  • 確率階層を含むゲーム
  • 0枚になるまでやめない

ルーレットの出る目が均等ではない

ルーレットはダーツの的のように等しい角度で分割されていますが確率は均等かどうかは怪しいのです!
つまり12個の的がありますがそれぞれの確率が1/12ではない可能性があります。
12勝しても50が出ないということがよくあると言えるでしょう。じゃんけんに買っても勝っても配当が1枚や2枚ばっかりだと配当の平均値は減ります。

勝率が1/2ではない

果たしてじゃんけんの勝率は1/2なのでしょうか?こちらがボタンを押さなければ

じゃ~んケーン

じゃ~んケーン

と、こちらが手を出すのを求めてきます。つまり完全なランダムではなくて”ある一定の確率でじゃんけんゲームが負けてくれている”と考えることができそうです。

確率階層を含むゲーム

そして一番大きい理由がこれです。スマートフォンのゲームでもよくあるのが関門がいくつかあって、それらを抜けるためには確率pの勝負に勝たなければいけず、更に次の関門では確率qの確率で勝たなければいけないというような階層構造で、結果的に一つ一つの確率は勝てそうでもすべての関門を抜けるためには、p×qの確率になってしまい非常に小さくなってしまうというミソです。
先程、期待値を8.17と導出しましたが、実はあくまでじゃんけんに勝ったもとでの期待値です。なので厳密には8.17×1/2=4.085(仮に1/2とします!!)となっているのです。
巷を騒がせたレアガチャ問題もその一つということが出来ると思います。

0枚になるまでやめない

投資戦略の話にもなりますが、仮に勝率1/2で確率的試行を行っている場合、いつかは0になってしまいます。
→ファイナンス数学におけるブラウン運動

例えば「100枚たまったらやめる」というルールを作れば達成する人は多いでしょう。しかし、じゃんけんゲームのコインはそこでしか使えないため全部そこにつぎ込むのです。
結果的に0枚になるまでやり続けることになってしまい、最終的に0枚になる仕組みになっているのです!

まとめ

簡単なゲームの中にも確率が潜んでいる…ことはもう知っていたと思いますが。大切なのは、”簡単な確率”の裏に潜む”難解な確率”を意識しておくことですね。

そして、ギャンブルは勝ったらやめましょう!!