著者:田島一郎
出版社: 共立出版
数学科の場合、大学新入生泣かせの圧倒的第一位と言えば「イプシロン-デルタ論法」でしょう。高校数 学にはなかった ∀ や ∃ を多用した論証に涙した経験は、数学科卒の「あるある」の1つです。一方で、 イプシロン-デルタ論法の効用もまた、数学科ならば誰もが疑わないでしょう。イプシロン‐デルタ論法に よってはじめて極限は厳密に定義され、解析学(関数空間)は豊穣な世界となりました。イプシロン-デ ルタ論法の「難しさ」はそのままイプシロン-デルタ論法の「ありがたさ」でもあるのです。さて本書 は、そんなイプシロン-デルタ論法を(初学者にとって)本邦一分かりやすく解説したテキストの1つと 言えます。小冊子と侮るなかれ。イプシロン-デルタに傷を持つ方、これから大学数学の世界に入る方 は、本書こそが福音となるでしょう