書籍紹介

権力の予期理論

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著者: 宮台真司
出版社: 勁草書房

90 年代に「ブルセラ社会学者」として颯爽とメディアに登場し、近年でも活躍・発言の場の絶えない社会学者、宮台真司の博士論文を刊行したものが本書です。「ブルセラ」の記憶が強い方には意外かもしれませが、本書は「権力」という概念を「ゲーム理論」を用いて定式化した純理論書となります。内容自体 も非常に興味深く かつ 社会学と数学の接点となる珍しいテキストですので、数学の応用やゲーム理論の応用について知りたい数学ファンの方にお薦めします。

ブラック・ショールズ微分方程式

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著者: 石村貞夫・石村園子
出版社: 東京図書

ブラックショールズ方程式とは、デリバティブの価格づけに現れる偏微分方程式のことです。石村シリーズの特徴として、ゆっくり丁寧にのせているところが挙げられますが御多分に洩れず本書も高校レベルの数学からはじまり非常に高度な微分方程式の導出と解法にいたるまで、一つ一つわかりやすく伝えてくれます。また、最短でブラックショールズ方程式を数学的に学べる本は本書以外ないといってもいいくらい洗練された参考書になっています。

みんなのR -データ分析と統計解析の新しい教科書

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著者 : Jared P. Lander
出版社 : マイナビ

現場のデータサイエンティストによって書かれた実践的な R 入門書です。統計解析手法の数学的なロジックについてはほとんど説明されておらず、翻訳も所々誤っているもしくは統計学的に標準的な訳語が使われていないと言う難点がありますが、にも関わらずここで紹介するのは、本書が「データ整形」や「データ結合」等の前処理について非常に重きを置いているからです。多くの「R 本」が分析パッケージ の利用方法やヴィジュアル化を急ぐのに対して、「前処理」と「分析」がバランス良く扱われており、分析へ入る「その前」で躓いている方には一読の価値アリだと思います。

目で解く幾何―高校への数学 (直線図形編)

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著者: 東京出版
出版社: 東京出版

この本は本当にスゴイ本です。補助線を引かず、方程式を立てず、目で見ること「のみ」で解くことを期 待された幾何の問題が担々と載っているだけ(?)の本なのですが、その実、幾何の問題を解くための「直観力」を養うのに非常に優れたトレーニングとなっています。紙面に描かれた図形を見る時にどのよ うな点に注目すれば良いのか、思考の中で幾何図形をどのように動かし、加工し、透視をすれば良いの か、見えている人には見えている、そんな幾何問題との向き合い方の秘密を、あなたも手に入れてみませ んか。すぐに出来なくても、解答を読めばきっと「目で解ける」。本書の企画を成り立たせているのは、圧倒的な解答力です。高校受験を控えた中学生にも、パズルとして数学を楽しんでいる大人の方にもお 薦。同シリーズの「円・三平方編」「立体・座標編」も一緒にどうぞ。

虚数の情緒―中学生からの全方位独学法

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著者: 吉田武
出版社: 東海大学出版会

「人類文化の全体的把握を目指した科目分野に拘らない”独習書”である」という「宣言」ではじまる本書は、まさにその言葉通り、人類の歴史を扱い、生物進化と元素表を扱い、国語を扱い、哲学を扱い、物理を扱い、音楽を扱い、そしてその通底を成す数学を「数の概念」から「オイラーの公式」まで扱いながら、縦横無尽に人類文化を駆け巡るたっぷり1001 ページの大著です。本書を読むと、文理の区分が全く無意味に思えるくらいに「学ぶ」という営みが1つだと感じられます。また本書を読み終わるころには、あらゆる科学の有機的なつながりを自然なものとして受容できる感性を獲得できるでしょう。学校の縦割りカリキュラムにうんざりしている中高生、中学数学や高校数学から学び直したいと思っている大人の方、そして「数学で世界は1つ」と信じている全ての方にお薦めします。

道具としてのファイナンス 

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著者: 石野雄一
出版社: 日本実業出版

ファイナンスの理論と実践の両方の側面から学べ、初心者が独学で利用するにははまさにうってつけの書。理論は難しい数式表現をなるべく抑えていて、文章や事例を多く用いて書かれており、また実践についてはエクセルシートをもとに解説されている部分も多いことから、業務にに必ずつなげられます。数学の難しい式は苦手だけどどうなっているのか理論を知りたいという方向けです。

深層学習

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著者 : 岡谷貴之
出版社 : 講談社

深層学習(ディープラーニング)はニューラル・ネットワークを利用した機械学習の手法であり、画像認識や画像カテゴリー認識 及び 音声解析等 各種人工知能テクノロジーに応用されている” 今アツイ ”最先端の分野です。本書は深層学習についての、理系教養程度の知識にある方にとって現状最も分かり易い入門テキストの1つだと思います。数理的解説と実務応用や歴史についての記載とのバランスが良く、かつ 図も豊富なためこの分野の基礎理論と現状を手っ取り早く概観したいという要望に応えてくれます。折しも本文を記載している2016年、GoogleのAlphaGoが李世ドル9段を破ったことが話題になりました。また IBMのWatsonも日々メディアを賑やかしています。Alpha GoやWatsonを含む人口知能のロジックを知りたいという方、是非本書を手に取ってみて下さい。

因子分析

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著者 : 市川雅教
出版社 : 朝倉書店

数ある多変量解析の内、ユーザーにとって最も”モヤモヤする”分析の1つは因子分析ではないでしょうか。分析の用途や出力結果は魅力的なのに、裏側のロジックを知ろうとテキストを手に取ると 記述が曖昧であったり、内容が断片的であったり、あるいは数学的に難し過ぎたりして、長年使ってはいるがロジックはブラックボックスのまま、という人は多いと思います。本書はそんな多くの方の”モヤモヤ”を解決する素晴らしいテキストです。因子分析のロジックと最近の研究結果が 数学的にきちんと かつ 行間を飛ばさず に記載されています。因子分析ユーザーの方も、因子分析を諦めてしまった方も、是非一度手に取ってみてください。ただし、学部程度の線形代数までは仮定されていますので、線形代数が曖昧な方は線形代数のテキストを脇に置いて読み進めると良いと思います。

ロスマンの疫学

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著者 : KennethRothman
出版社 : 篠原出版新社

本書は「疫学」の世界的に有名なテキストであり、著者のKennethRothmanは同分野の大家です。数学系だと馴染みのない方も多いかもしれませんが、疫学は公衆衛生科学の中核となる分野であり感染症の制御や住生活環境の改善に貢献している学問分野で(ナイチンゲールをイメージしてください)生存時間解析やロジスティック回帰等統計学の様々な分析手法を活用しています。ですので、本書でも医療統計学の解説は充実していますが、白眉はやはり医療統計学の枠に収まらない疫学独自の概念や「疫学的思考法」の解説です。分析手法のロジックを理解することばかりにエネルギーを投入しがちな人には、「科学的思考の上で研究を”デザイン”すること」の重要性に気付かせてくれる1冊となるでしょう。

数理統計学ハンドブック

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著者 : Robert V.Hogg
出版社 : 朝倉書店

朝倉書店の出版している「ハンドブック・シリーズ」の数理統計学編で、欧米の大学院でよく使われている ” Introduction to Mathematical Statistics ”というテキストの翻訳本です。全766ページの中で 確率の公理からはじまり一般線形モデル、ノンパラメトリック解析、ベイズ統計までを網羅的に扱っています。基礎内容から丁寧に記載されている”全部盛り”テキストなので、一度数理統計学を学んだことがある方のレファランス本としてはもちろん、これから数理統計学を学ぼうとしている方にとっても非常に有用なテキストだと思います。大学生や大学院生の方は長期休みに”一気読み”すると今後の研究で末永く役立つ財産となるでしょう。

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