著者 : 手良向聡
出版社 : 金芳堂
著者の手良向先生は京都府立大学の生物統計学教授である。本書の第1部では、臨床研究において、従来の頻度流統計学の利点と限界点を説明している。第2部では、この限界点を打破するための手段として、ベイズ統計学を紹介している。類書に比べて実際の臨床研究を例とした解説が多く、少ないサンプルサイズの臨床研究であってもベイズ統計学が威力を発揮することが理解できる。しかし、ベイズ統計学を理解する上で重要なベイズの定理や事前分布・事後分布の説明は少なく、ベイズ統計学の初学者が読破するには難しいと感じるだろう。本書は、ある程度のベイズ統計学の知識がある中級者以上が、臨床研究に役立てようとする時に一読の価値がある。